LABOR
ハラスメント相談を受けた企業が、初動で整理しておきたいこと
ハラスメント相談を受けた企業は、結論を急がず、具体的な言動・日時・資料と現在の支障を記録します。情報共有を必要な範囲に限り、相談者への不利益を防ぎながら、公平な事実確認と当面の就業環境への配慮を進めます。
相談直後に確認する要点
結論を急がず、具体的な出来事と現在の支障を記録します。調査に必要な情報の共有範囲を説明し、関係者のプライバシーと相談者への不利益防止に配慮しながら、公平に事実を確認します。
相談の入口で、結論を急がない
従業員から「上司の言動がつらい」と相談を受けたとき、その場でハラスメントに当たる・当たらないと判断する必要はありません。まずは、何が起きたのか、今どのような支障があるのかを落ち着いて確認します。
「気にしすぎではないか」「本人に直接言ってほしい」といった対応は、相談を続けにくくすることがあります。相談を受ける担当者と、その後に事実を調べる担当者の役割を整理しておくことも役立ちます。
いつ、どこで、誰が、何をしたかを記録する
相談時には、次の5項目を分けて記録します。本人が経験したことと、他の人から聞いたことを区別し、できる限り本人の表現を残してください。
- 出来事の日時・場所、具体的な言動、周囲にいた人、繰り返しの有無。
- 本人が直接経験した内容と、他の人から聞いた内容。
- メール・チャットなど、確認に使える資料の有無と保管先。
- 仕事を続けるうえでの現在の支障や、安全上の懸念。
- 本人が希望する対応と、今後の連絡方法。
メールやチャットなどの資料がある場合は、原本や前後の文脈を残します。相談者の希望も確認しますが、調査や必要な対応のために、希望どおりに進められない場合があることを説明しておく必要があります。
秘密を守る範囲と、共有が必要な範囲を説明する
相談内容を広く共有することは避け、調査や対応に必要な担当者に限定します。一方で、「誰にも一切伝えない」と約束してしまうと、関係者への確認ができなくなる場合があります。
誰に、何のために、どの範囲の情報を伝える可能性があるかを説明します。相談したことや事実確認に協力したことを理由とする不利益な取扱いを防ぐことも、対応の前提です。
双方の説明を確認し、当面の就業環境にも目を向ける
相談者の説明だけで結論を出さず、相手方や必要な関係者からも事情を確認します。その際、先に得た説明に誘導する質問を避け、確認できた事実と意見・評価を分けます。
調査中に同じ状況が続く場合は、就業環境への配慮が必要になることがあります。配置や指揮命令の変更などを検討する際も、相談者に不利益を集中させないよう、意向と業務の状況を確認します。
切迫した安全上の問題がある場合は、調査の完了を待たず、必要な保護や対応を検討します。行為の評価や処分の判断と、当面の保護を分けて考えることが大切です。
調査の後に、対応と再発防止を検討する
確認できた事実を踏まえ、就業規則や社内規程に沿って必要な対応を検討します。懲戒などの判断には、具体的な行為、経過、手続、処分の相当性の検討が必要です。
厚生労働省は、職場のパワーハラスメントについて事業主が講ずべき措置として、相談体制の整備、迅速かつ正確な事実確認、適切な対処、再発防止、プライバシーの保護、不利益取扱いの禁止等を示しています。窓口を設けるだけでなく、実際に相談を受けたときの手順まで用意しておくことが大切です。
公的資料は2026年9月確認。個別の行為の評価や会社が取るべき措置は、具体的な事情を確認して検討する必要があります。
人事・労務の判断が継続して生じる場合は、「中小企業に顧問弁護士は必要?相談を始めるタイミングと準備」もあわせてご覧ください。
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