試用期間中の本採用拒否|会社が確認すべきこと

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試用期間中の本採用拒否|会社が確認すべきこと

試用期間が終わるという理由だけで、本採用を自由に拒否できるわけではありません。契約内容、評価と指導の記録、本人への確認、解雇予告を分けて整理します。

採用した従業員の仕事ぶりが期待と異なり、試用期間の終了が近づいている。こうした場面では、会社として早く判断を出したい一方で、説明や記録が不十分なまま本採用を拒否すると、紛争につながるおそれがあります。最初に確認したいのは、採用時の契約と、評価の根拠になる具体的な事実です。

目次

試用期間の終了だけで、雇用が終わるとは限らない

試用期間は、入社後の勤務状況を通じて適性を確かめるために設けられます。期間の定めのない労働契約に試用期間が付いている場合、期間が満了しただけで当然に雇用が終了するわけではありません。本採用の拒否は、解雇としての検討が必要です。

試用期間中の解約権の行使は、通常の解雇よりも広い範囲で認められるものの、試用期間の目的に照らした合理的な理由と相当性が必要です。厚生労働省の「試用期間」に関する裁判例の解説でも、この考え方が整理されています。

契約書に「3か月」と書かれている場合も、それが有期の契約期間なのか、適性を判断するための試用期間なのかを、採用時の説明や実際の働き方と併せて確認します。表題や期間の記載だけで結論を出さないようにします。

期待していた仕事と、実際の事実を照合する

「能力が足りない」「社風に合わない」という評価だけでは、判断の根拠が伝わりません。採用時にどの職務・能力を求めていたか、実際にどの仕事で支障が生じたかを分けて記録します。新卒採用か、特定の経験や能力を前提とした中途採用かも、確認する事項です。

  • 求人票、採用時の説明、労働条件通知書、雇用契約書
  • 就業規則に定めた試用期間、本採用判断、延長、解雇に関する条項
  • 問題が生じた日時、業務内容、指示内容、具体的な結果
  • 指導した内容、伝えた改善点、その後の勤務状況
  • 本人の説明と、会社の記録に食い違いがないか

例えば、納期の遅れを問題にする場合は、期限をいつ伝えたか、必要な情報や引継ぎを会社が用意していたか、遅れの理由を本人に確認したかを整理します。結論を補強するために後から記録を作り替えるのではなく、当時のメールや業務記録を保存します。

指導と改善の機会を振り返る

本人に何を改善してほしいかが伝わっていたか、改善を確認する機会があったかを見直します。担当者ごとに指示が異なっていたり、必要な研修を受けていなかったりすれば、会社側の業務の与え方も検討する必要があります。

面談では、会社が確認した事実と評価を分けて説明し、本人の認識を聞き取ります。健康状態やハラスメントなど別の問題が関係している場合は、通常の能力評価だけで処理せず、その事情を踏まえて対応を検討します。

一律に「指導を何回すれば解雇できる」という基準は置けません。問題の内容、採用時の条件、指導経過などを踏まえて判断します。

解雇理由の検討と、予告手続は別に行う

解雇については、労働契約法16条の合理性・相当性の検討が必要です。実際に有期労働契約を結んでいる場合は、契約途中の解雇に関する同法17条や、更新しない場合の同法19条など、別の検討も必要になります。

解雇する場合には、原則として30日前の予告、又は不足する日数分の平均賃金に相当する解雇予告手当が必要です。試用期間中でも、14日を超えて引き続き使用している場合には、この予告手続の対象になります。厚生労働省の解雇予告に関するQ&Aも参照してください。

14日以内であれば理由を問わず解雇できる、という意味ではありません。また、解雇予告手当を支払えば解雇そのものが有効になるわけでもありません。理由の妥当性と予告手続を分けて確認します。

本採用拒否の通知や、試用期間の延長を決める前に

判断材料が足りない場合でも、会社が一方的に試用期間を延ばしてよいとは限りません。就業規則や契約上の根拠、延長の必要性、期間の相当性、本人への説明などを確認します。延長を重ねれば問題が解決するというものでもありません。

通知文案だけを先に作るより、採用条件と勤務状況を時系列で整理し、本採用、指導の継続、配置の検討、本採用拒否などの選択肢を比較することが重要です。退職を勧める場合にも、本人の自由な意思を妨げる対応にならないよう、伝え方や面談の進め方を検討します。

試用期間の終了直前になる前に、契約書・就業規則・指導記録を揃えて弁護士に相談すると、追加で確認すべき事実と手続を整理しやすくなります。

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執筆・内容確認:藤本真一

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